至学館大学 同窓会




『学校法人中京女子大学一〇〇年史』の執筆にあたって
伊達コミュニケーション研究所研究員 平野久美子

学校法人中京女子大学一〇〇年史』
学校法人中京女子大学発行,2005,ISBN4−9902824−0−X,
目次:「創立百周年を迎えて」学校法人中京女子大学理事長谷岡太郎,3−4頁「『百年史』発刊によせて」中京女子大学学長谷岡郁子,5―7頁「中京女子大学創立百周年によせて」名古屋市長松原武久,8−9頁「百周年を祝して」大府市長久野孝保,10―11頁「中京女子大学開学百周年を祝って」神戸芸術工科大学名誉教授鈴木成文,12―13頁「創立百周年を祝って」学校法人谷岡学園理事長谷岡一郎,14―15頁「世代を結ぶ肩車」平野俊,17―476頁「谷岡郁子学長インタビュー」聞き手 駒井洋479―585頁「年表」589―701頁,参考文献,703―709頁

平野久美子の年史執筆にあたって

中京女子大学人文学部アジア文化学科 平成10年度卒業生

平成15年の創立100周年を記念して刊行された『学校法人中京女子大学一〇〇年史』は、本学園にとって自らの学園史を学びなおすというスタートラインに立つものになったと思っております。それは執筆者冥利に尽きることであると共に、遣り残し感が強く、更なる執筆意欲を駆り立てられることでもありました。(年史では平野俊のペンネームで執筆)
明治期に裁縫法を教授する小さな私塾的学校としてスタートした本学園の前身、中京裁縫女学校は、大正期に中京高等女学校を併設し、家事科と体操科を合わせ独自の教育理念を実施することで社会的信頼を獲得してきました。けれど、戦前期の学園史料は、昭和20年の名古屋空襲で焼失してしまっているということから、僅かばかりの写真しか見当たらず、そして戦後になってからのインタビューをもとにまとめられた内木玉枝先生の『九十年の思ひ出』や写真集としての 『学校法人中京女子大学九十年史』から戦前期の回想をするという程度のものでした。
私は中京女子大学附属高等学校、中京女子大学人文学部アジア文化学科の卒業生であることから、年史の執筆を委嘱されたのですが、その時、中京女子大学学長谷岡郁子先生からの注文は、「誰もが読める年史であること」、「学生や卒業生を中心に描くこと」ということでした。私は何日も構想を練りなおしました。史料がないからには、史料の発掘をするしかない。そして、史料が揃わない場合には、各年代の卒業生を取材することによって、学園史の空白部分を埋めていくしかない。そして、本学園の変遷を描くということは、時代の大きなうねりを描くことでもあるから、視野を広く、近代日本の女子教育史を踏まえる必要があると思いました。そうした上で、郁子先生の言われる2点を意識すること、また、執筆に際しては、学生の就学前後をも含むそれぞれのドラマ、本学園経営者や教職 員の教育実践、各時代の社会的背景という3本の柱を織り交ぜていきたいと考えました。
私は早速、限られた時間の中でフル回転し本学園と縁ある方々の取材にあたり、長時間にわたる聞き込みと共に、写真や書物、あらゆる思い出の品々をお借りしました。約半年間をかけて取材や資料収集をし、4ヶ月間で書き上げ、残る3ヶ月間は取材にご協力下さった方々と郵送による校正作業にお付き合いいただきました。この間、取材にご協力いただいた方は、全国各地でご活躍の約100名にのぼります。多くのご教示ご鞭撻を賜り、創設者内木玉枝先生の生きた明治時代から、大正、昭和、平成と各時代を生きた学生や教職員までと、皆様方のドラマをつなぎ本学園の100年史が生まれました。皆々様に、この場をお借していま一度厚く御礼申し上げます。皆々様の本学園に対する思いが私の筆を走らせ刊行までたどり着けたものと思っております。
そして、年史の作成にあたり、始終その労を厭わず私の支えになりつづけて下さった中京女子大学経営管理局経理課長前田敏さんに心より感謝いたしております。前田さんには資料の収集、私の文章に対するご指導、校正や年史のレイアウト等、全てにわたりお力添えを頂きました。前田さんと共に本学園の歴史について時間を忘れて語り合った日々は、年史づくりにあたって、その重さに挫けそうになる中、私をいま一度奮起させてくれる大きな原動力でありました。
そして、何よりも、100年史の完成にはこのような機会を与えて下さった学長谷岡郁子先生の教育者としての眼差しがあってのことであります。郁子先生は、はじめに2点の注文を言われたきりで、最後まで全面的に任せて下さりました。私は郁子先生の下で教育を受け、その教育観を普遍的なものと認識していることから、伸び伸びと思い切り取り組めたものであります。
また、「明るく元気にチャレンジ精神」という本学園の校風や創立100周年の際の、本学園に関わる全ての方々を「結んで、開く」という壮大なプロジェクトは、常時、年史づくりに勇気を与えてくれました。
「開け100年の扉」と、更なる100年に向かって歩み出した本学園は、いままた1年1年、新たなドラマが生まれ、本学園独自の教育を媒介とした肩車がつづけられております。本学園の校風を代表する郁子先生の眼差しは、多くの卒業生にとって、本学園にとって、これからも大きな指標であります。
また、私は平成15年の年史刊行後も史料収集を続け、本学園の新たな歴史的史実を得ることができております。私にとって100年の歴史をつなぎつづけて下さった卒業生や教職員の方々に対する感謝の念は、今後も様々な場をお借りし本学園の歴史を語り伝えていくことであると思っております。そして、同時に、それはこれからの入学生や在校生にとっても大きな励みになるものと信じております。

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