【シラバス基本情報】

科目名 人間形成論T<環境・生態・食>
担当教員 堀江 俊一・町出 充
配当年次 2年
履修方法 選択必修  
開講時期 前期
授業形態 講義
単位数 2
備考  

【授業目標】

 人類が自然を人為的に改変し、環境を支配する力を持ったのは、人類の歴史の中のつい最近のことである。すなわち人類は他の生き物と同様、永く自然に支配された中で進化を遂げた生き物である。このような人類の健康や文明の形成、文化的な営みが自然と無関係であるはずがない。講義では、健康や文明・文化に資する環境条件を解説し、環境の現状と課題について考察する力を養成する。併せて「食」の意義について知的視野を広げ、自然からの恵みである食と文化とのかかわりを理解できるようにする。

【到達目標】

人類の生存を可能にしてきた自然環境について、幅広い知見を獲得するとともに、自然環境に文化的適応を果たしてきた人類史を、食文化の面に焦点を当てた幅広い知見を獲得する。

【授業計画】

 以下の内容について、町出(第1〜8回)、堀江(第9〜15回)が分担して講義を行う。
 

内容
1
 環境問題の歴史:(1)環境が文明を支配した古代〜中世、(2)近代の公害と環境破壊の変遷
2
 現代の環境問題(1)原子力と人間  (i)地球温暖化と原子力発電
3
 現代の環境問題(1)原子力と人間  (ii)放射線の影響と自然エネルギーの利用
4
 現代の環境問題(2)生物多様性の保護  (i)生態系のしくみと人の営み
5
 現代の環境問題(2)生物多様性の保護  (ii)外来生物の問題と絶滅危惧種の保護施策
6
 歴史に学ぶ:「環境考古学」から分かること(1)野を駆ける「豚」はどこへいった?
7
 歴史に学ぶ:「環境考古学」から分かること(2)「犬」はいつから「人の犬」になった?
8
 総合演習「環境と生態」
9
 「食」と「文化」について(1)「文化」とは
10
 「食」と「文化」について(2)「可食物と不可食物」、食物の共有という文化
11
 日本における「食文化」の形成(1)日本の食文化、その「最大の特徴」
12
 日本における「食文化」の形成(2)文化の伝播と受容
13
 江戸時代の「食文化」:「和食」の完成、鎖国の終わりに出会った人々、身体の問題
14
 「文明開化」が目指したもの:食文化の「改良」、−食肉・牛乳飲用・パン食−
15
 総合演習「食と文化」

【履修上の注意(含予習・復習)等】

 この授業のキーワードである「環境」・「生態」・「食」の話題は、日々、新聞、テレビ、インターネットを賑わせている。授業の準備として、最新の記事、身近な環境や食の問題について、自分の考えをはっきり持って授業に参加すること。
 ○受講上の注意:配付資料は、その回の講義でしか配付しない。
         教室が広いので、各自で聴講に都合の良い席を確保すること。

【成績評価の方法と評価割合(%)】

 成績は、町出担当(第1〜8回)の「環境と生態」、堀江担当(第9〜15回)の「食と文化」、それぞれのテーマについてのレポート(各100点)の平均点で評価する。ただし、環境・生態・食の相互関係について理解することが学習目標の1つであるため、「環境と生態」と「食と文化」、両方のレポートに合格すること(どちらのレポートも60点以上得点する)を単位認定の条件とする。
 

【テキスト・参考文献】(テキスト◎、参考文献(推薦)○)

 授業毎にテーマに則した資料を配付する。

 「地球環境報告」「同II」石宏之著、「環境考古学への招待」松井章著、「生物多様性とは何か」井田徹治著(以上岩波新書). 「地球環境学入門」山崎有紀著(講談社). 「環境史とは何か」湯元貴和編(文一総合出版)、他